アメリカのオモチャ販売店トイザらスが、OpenAIの新しい動画生成ツール「Sora」を使用して制作した動画広告を公開しました。
しかし、この広告がネット上で大炎上。
広告はAI技術を活用したものですが、その不気味な表現やキャラクターの変容に対する批判が多く寄せられ、特に子ども向け商品を扱う企業としての責任が問われています。
トイザらスのAI生成動画とは
トイザらスが公開したこの動画は、創業者チャールズ・ラザラスが子どもの頃に見た鮮やかな夢を元に、ブランド設立の着想を得たという物語を描いています。
AIを利用して生成されたこの動画は、商業利用におけるAIの可能性を示すものとして一部では歓迎されましたが、一方で、AIの技術的限界が露呈したものとして多くの批判も浴びました。
AI生成動画の炎上理由
トイザらスのAI生成広告はなぜ炎上してしまったのでしょうか?
ここからは炎上した3つの理由を解説します。
「想像力」をテーマにしたCMにAIを使用する矛盾
上記見出しでも紹介した通り、問題となった広告は創業者が子どものころに見た夢からブランド創立の着想を得たというもの。
子どもの「想像力」をテーマにしたCMにもかかわらず、人間の手が加わっていないAIを使用したことで「何とも皮肉的だ」と話題になりました。
おもちゃは子どもたちの想像力や創造力を鍛えることができ、これらが育つことで思考力や共感力が高まります。
そんなおもちゃを作るトイザらスが、想像力が欠如したAIに頼って動画広告を作ったことで炎上してしまいました。
キャラクターの見た目が安定せず不気味
この動画が炎上した2つ目の理由は、AIが生成したキャラクターの顔が動画の中で次々と変わり、「不気味だ」と批評されたことです。
視聴者の多くは、この動画が「まるで別人のように変わるキャラクター」を描いており、不自然で不快だと感じました。
また、動画が短いためにキャラクターの一貫性が保てず、視覚的に混乱を招いたことも問題視されています。
特にころころと変わる子供時代の創業者・チャールズの容姿が不気味だと言われていますが、筆者はあまり気持ちが悪いとは思いませんでした。
細部までまじまじとみると荒さを感じますが、色鮮やかな色彩や子供らしい奇抜な発想力が表現されていると思います。
炎上するほどの不気味さはあまり感じず…どちらかというと日本以外で物議を醸してるようなので、普段からデフォルメされたキャラデザに触れてるかどうかの感覚の違いもあるかもしれませんね。
俳優たちが活躍の場を失う危険性
人間が登場するAI動画で必ずと言っていいほど言われるのが、俳優の活躍の場が奪われるといった懸念です。
今回の広告にも人間が出ていますが、こちらもAIによるものなので生身の人間は登場していません。
今後、このような広告が広まれば俳優だけでなく、キッズタレントや動物タレントの活躍の場が減りますよね。
誰もが知ってる大企業であるトイザらスがAIで広告を作ったとなると、AIに置き換わる仕事がどんどん増えていきそうです。
広がる子どもターゲットの生成AI利用
このトイザらスのAI生成広告への反発は、子ども向け商品のセールスにAIが利用されることへの懸念とも結びついています。
生成AIが子どもたちに与える影響について、ネット上では多くの議論が巻き起こっており、人間が手がけた芸術に触れる機会が減少することを嘆く声もあります。
まとめ
トイザらスの事例は、AI技術の商業利用における課題と限界を明らかにしました。
特に、子ども向けコンテンツにおけるAIの利用は、慎重な対応が求められます。
今後もAI技術が進化する中で、倫理的な側面やユーザーの感情に配慮した利用が重要となるでしょう。
AI技術の進展と商業利用には多くの可能性がありますが、その一方で慎重な対応と社会的な議論が求められています。
トイザらスの事例を通じて、AIがもたらす未来について考えるきっかけとなることを願っています。
【インダストリアル・ドリーム株式会社について】
国内で初めて独自LLMを取り入れたwebサービスである創作支援アプリAI BunChoを開発・運営しています。
その経験をもとに、生成AIに関するPoCや受託開発を行っております。
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